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秋山清著作集 発刊の辞

写真秋山清は、十代から詩作を始め、アナキズム詩誌『詩戦行』などに参加、戦後も一貫した姿勢でその立場を律してきた。静謐な詩魂のなかに自由への思いを沈潜させた多くの詩は、「日本の詩的抵抗の最高の達成」(吉本隆明)と評されている。戦後、日本アナキスト連盟の結成に尽力しつつ、五六年の『文学の自己批判』で、「政治と文学」論争に一石を投じた。六〇年安保闘争では、吉本隆明、埴谷雄高らとともに六月行動委員会のメンバーとして参加し、六六年十一月のベトナム反戦直接行動委員会の軍需工場襲撃事件に際しては、戦時下の詩作品を集めた詩集『白い花』をカンパ支援として出版する。
六〇年に『日本の反逆思想』を著わし、多くの示唆と衝撃を与え、大杉栄以後のアナキズム運動、なかでも村木源次郎、和田久太郎や、古田大次郎、中浜哲ら大正ギロチン社のアナキストたちを、共感をもって照射した名著『ニヒルとテロル』は、六〇年代末から七〇年代にかけて渦動した大学闘争・反戦闘争を担った多くの青年層に支持された。さらに秋山の代表作のひとつでもある『竹下夢二』は、これまでのどの夢二論とも違う屹立したものとして、絵画や詩がもっている表現の奥にある思想の深さを多くの読者に認識させるものであった。
秋山清は、政治と文学の対立を超えながら、教条的思考からはいつも自由な場所で、柔らかな思考と鋭利なまなざしで、政治や文学はもとより、映画、漫画、演劇、スポーツ、歌謡といった多様な文化に関心を向けながら、『近代の漂泊』など多くの珠玉の著作を著わしてきた。わたしたちは、没後十七年を経て、入手困難になっている秋山清の著作の数々が、現在の混濁し混迷した情況を切り開くための多くの示唆を持っていると確信して、ここに秋山清のほぼ全仕事を俯瞰しうる著作集を、全十一巻別巻一として刊行するものである。

秋山清著作集編集委員会

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