

No.3
秋山清には、後に詩集として纏められた「ある孤独」と題した一連の詩篇がある。制作年代でいえば、一九五四年から六七年にかけて、詩誌『コスモス』やアナ連機関紙『自由連合』を中心に精力的に詩や文章を発表していた時期にあたる。戦時下の作品「白い花」は、秋山の代表的な詩篇とされているが、「ある孤独」は、秋山の思考の核を最も表わしている重要な作品群であるといっていい。秋山は、「内なる私自身と外なる社会的時間との対決交錯の上に」、詩集『ある孤独』は成り立っていると後年、述べている。これは、「個」が、「孤」であることを知るところからしか、「社会的時間との対決交錯」はありえないと表明していると捉えることができる。だから、「ひとり立っていられるのでなくて、どうして連帯が可能たり得るか」という思いから、次のような詩篇が紡ぎ出されていくのだ。
「おれが憎んでいる。/群衆を。(略)あっという間の六月十九日、夜明け。/白っぽけた堤燈デモの紙いろ。(略)早朝の街上を遁走するおれたちが/群集でもなく。/民衆ですらもなく。/ 何なのだ。/ 千万匹のなかのおれひとり。」(「ある孤独―六月十九日」)
六〇年安保闘争を回想した詩だ。ここには、秋山の「孤」が際立っている。
(久保隆)