「満員電車で座る技術」という本が英国でも人気を呼んでいるとか。満員電車は日本だけのものかと思っていたからちょっと驚き、と安心? それにしても二十数年間も毎日ギューギュー詰めにされていると、何か面白いことはないものかと観察する余裕がでてくる。そこで、今回はそんな経験談をいくつか――。
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会社帰り、新宿乗り換えで運良く座ることができた。その日は会社近くのスーパーで里芋と長芋を買っていてビニールの買い物袋をさげていた。すこしすると座った私の直前に2〜3人の乗客がかたまって立ちふさいだ。どうもスーパーの買い物袋が目にとまったらしい。ご近所の方だからすぐ降りるに違いないと見込まれてしまったようだ。「オレ、まだあと40分は降りないよ」とも宣言できないので、寝たフリをした。
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私はデブが嫌いだ。場所を取るし汗っかきだし……もっと言いたいけどこれ以上は言わない。誹謗中傷になるし…。しかしデブでもないのに場所を取るヤツもいる。ノートパソコンでも入っているようなリュックを背負ってマンガを開いてる青年。その肘が私の脇腹に食い込んでイタイ! 隣のおじさんが注意した。「マンガを読んでいられる状況じゃないでしょ!」。ところが反応がない。なんと青年はイヤホンをしていた。おじさんの言葉がむなしく消えていった。
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私が毎日利用している電車は痴漢が多いことで知られている。混雑状態も首都圏で一、二を争う路線。私の娘も当然、同じ電車に乗って学校へ通っている。そんな話を娘としていると、「サトチン(友人)なんか3回も痴漢にあったんだよ!」その言い方が納得できないといった何かを含んでいる。「サトチンかわいいし、やさしそうだからな。で、お前は?」「まだ1回も…」。親としてなんか複雑。
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朝の混雑時にのみ「女性専用車両」が登場した。その日はすでに女性専用の時間外で、私の他にも男性が数人乗り込んでいた。時間外とはいえ何かおかしな雰囲気である。するとそこに40代とおぼしき女性がバタバタと乗り込んできた。女性専用車両だと気がついてから「あっ」と叫んで、隣の車両に移っていった。……私はしばし悩んだ。どういうことなんだろう…。そして結論づけた。あの人は「自分はすでに女性として対象外だ」と気づいたんだ、と。
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連休の谷間だったせいかいつもより随分と空いていた。いつもは読めない新聞だって広げられるほど。ところが次の駅でおじさんどもが私を取り囲むように押してくる。ついに反対側の扉まで押し込まれた。なんだなんだ。見渡すとそんなに混雑していない。私の周りだけが妙に人だかりだ。「もっとばらけろよ」と思いつつ後ろを振り返ると、なんとそこには長い髪のお嬢さんが窮屈そうに佇んでいた。(taki)