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ぱる通信〈PAL BULLETIN〉

ベトナム旅行記(1)

 空路6時間、ベトナムの首都ハノイの空港に降り立った。ある種、独特の匂いと湿り気を帯びて皮膚にまとわりつくような熱気が久し振りで懐かしい。
 空港まで出迎えてくれたガイドのイェンさんは、大学で日本語を学んだという、まっすぐな黒髪としなやかな細い指を持つ美しい女性だ。ジーンズにストライプのシャツといういでたちに、思わず「アオザイは着ないの?」と尋ねると、流暢な日本語で答えた。
「一時は“ドイモイ(刷新)”政策の中で伝統文化を見直そうという動きが進んで、あまり見られなくなっていたアオザイ姿も多く見られるようになっていました。でも最近ではアオザイの制服を普通服に戻す高校も出てきているし、結婚式にはウエディングドレスを着る女性が主流になりつつあります。ホテルやレストラン、土産物店などの従業員はほとんど制服としてアオザイを着ているようですが…」――ざっとこんな話でした。
 細い腰のあたりまで深くきれこんだアオザイの裾が、動くたびにヒラヒラと揺れる様は、女ながらも思わず目を奪われるほどに美しい!
「アオザイ姿が消えていくのは残念で勿体ない話ね」と言った後で、我が家のたんすの中で数十年、日の目も見ずに眠っている着物の数々を思い出した。アー、大きなお世話というものね。
 車で走ること3〜40分、郊外の田園地帯を抜け、色とりどりでガヤガヤとしたハノイの街中に突入した。木々の間からフランス統治時代のモダンな建物も見えかくれする。
 錆ついた五感よ、よみがえれ! 日常を抜け出して明日から一週間、濃密なベトナムの時間を旅するのだ。

(HAMA)

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