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ぱる通信〈PAL BULLETIN〉

ベトナム旅行記(3)

 ハノイ36街と呼ばれるオールドタウンは、11世紀から続く職人の街だ。
 日本でも江戸時代の城下では、各々の商売職業の人たちが集まって住んでいたとみえ、大工町、舟町、箪笥町、細工町等と名残りの地名が今でも残っている。転居前のぱる出版の住居表示は本塩町だから、塩に関わる人々が暮らしていた地域だったのかも知れない。
 ところで、ハノイのオールドタウンだが、ここは今でもその方式で、ある通りは鋳物屋ばかりが軒を連ねる鋳物屋街、次の路地を入るとガラス屋が並び、その先の通りはなんと墓石屋ばかり。こんな調子で洋服屋、トタン屋、お菓子屋……と続く。商品は整然と見事なまでに並べられている。カメラを向けたり、スケッチをしたり、時には冷やかしで覗いてみたりと一日中ぐるぐる歩き廻っていても飽きることがない。疲れたら道端のチェー屋(お茶屋)で北部特有の渋いお茶など飲んでひと休み。値段も激安、たぶん8円ぐらい。
 街を歩いているとシクロと呼ばれる自転車タクシーの客引きがすごい。ガイドブックには「シクロはぼったくられるので、トラブルのもと」としつこく書いてある。おまけに運転手の風体も良くないので、声をかけられても「No!」と足早に通り過ぎ、ついぞ一度も乗らずじまいだった。ベトナムの物価を考えれば、ぼったくるといったってたかだかだろうに、おしいことをした。
 ベトナムには旅行者価格があり、同じ商品でも地元の人と旅行者では値段が違う。おまけに向こうの言い値を値切っても大してまけてくれない。タイやカンボジアではかなり交渉が効いて、「じゃあいらない」と立ち去ろうとすると追ってきて「OK、それで売るよ」となるのだけど、さすが社会主義国ベトナムだ。「D10,000」「エーD8,000にまけてよ」「ダメ」と知らんぷりされることもしばしば。売ることに余り熱心でないようにも見える。
 骨董屋で皿を値切ったら「ベトナム人貧乏、日本人金持ち」と言われた。たしかに日本では貧乏な私も、ここではお大臣。今値切ろうとしている金額だって日本円にすれば7〜800円かだ。私は納得し、お互いの適正価格で売買は成立した。ふざけた魚の絵付けの豆皿を一枚おまけにくれたが妙に気に入った。ありがとう。

(HAMA)

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