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ぱる通信〈PAL BULLETIN〉

級 友

 S君と何年かぶりに会った。
 小学校に入学した時、S君は前の席に座っていた。1年5組は4月と5月生まれの子供ばかりが集められていて、僕とS君は誕生日が1週間違いだった。中学校まで共に近所の学校に通い、高校以降は別のところに進んだが、腐れ縁で今まで付き合いが続いている。
 いろいろな思い出がある。たしか小学2年生の夏休みだった。
 その日もいつものように半袖、半ズボン、ゴム草履に野球帽のいでたちで、田んぼの畦道を駆け回っていた。用水路を見るとトノサマガエルが足を引きずりながら、蛇から逃れようと跳ねていた。すでに一撃かまされていたようで、逃げ足もギクシャクしていて必死な様子だ。蛇に睨まれると蛙は動けなくなると言うが、根性のある蛙だった。
 僕らは蛇に向かって石を投げ始めた。なかなか当たらなかったが、そのうちの一発が勢いよく命中し、蛇はもんどり打って水中に没した。次に水面に浮かび上がってきた時には、白い腹を見せてぐったりしていた。気絶したのか、死んでしまったのかはわからなかったが、蛇は裏向きのまま下流に流れていった。
 石を投げているときから、マムシではないねえ、アオダイショウでもないねえ、えらい白い蛇やねえ、などと言い合っていたが、救出作戦の興奮も一段落するとS君が言った。

「あんなあ、白い蛇って神様の化けたヤツやから、悪さしたらアカンって、お母さん言うとったでえ」
「え…ホンマ?」
「うん バチ当たるって」
「……」

 急に寡黙になる2人。その日は何となく遊びに気が乗らず早々に引き上げた。
 その後、しばらくは「白蛇の祟り」を気にしていたが、夏休みが終わる頃にはすっかり忘れていたように思う。
 他にも「墓場で転ぶと3年後に死ぬ」なんて迷信を真に受けて不安になったり、いろいろなことがあった。
 そんな話をしていると、その時の表情や季節感も鮮やかに思い出される。

 思い出話が一息つくと、お互いに仕事や家族の話もするが、基本的にあまり話さなくてもよろしい。間を持たせようとか、杯が空いたから注がなきゃとか、気にせず、お互いマイペースの手酌でボンヤリしているだけだからじつに楽チンである。
 40年弱の間には、お互いに配偶者を得たり(それを解消したり)、子供を持ったり、仕事での浮き沈みがあったりといろいろあったけれど、それによって2人の関係が変わるわけでもなかったなあ、と今回は改めて感じた。やはり、子供の時分からの友人は、お互いの尻尾をつかみ合ってるような安心感があっていいものだ。

 そこそこ親密な時間を共にした人間でも働き場所が変わったり、引っ越したりすれば、消息はもちろん、思い出すことさえなくなってしまう人ってたくさんいる。そして、ごく限られた、相性のいい、縁のある人のみがずっと続いていく。
 私の年齢だと、そんな人間が数人もいれば上等であろうか。そういう友人って、これからは、ますます得難くなっていくのだろう。これから先、何人得られるだろうか。難しくとも、願わくば1人でも増やすことができればいいなと思っている。

(大)

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