なにか、こう、寂しいのである。ムヒを塗ったときのように心がすうすうする。暑い夏をエネルギッシュに駆け抜けた反動か…。孤独な中年独身男性のつぶやきなのである。
毎年、努力不足で仕事が片づかず、細切れにセコい夏休みの取り方をしていたから、今年こそは…と気合いを入れて、やるべきことを頑張って片づけた。
だから、今夏は思い切って休みを取った。ここ数年来、なかった長い休みであり、せっかくだから時間を無駄にしないように、ぎっしりスケジュールを詰め込んだ。浮き世から離れるために、携帯電話の電源もきっぱりと切っておいた(実際は、入れたり切ったりの優柔不断)。
折しも40℃に届くかという大熱波が訪れ、帰省先の関西地方も、うだるような暑さだったが、行きたかったところを訪ねたり、古い友人たちと酒を酌み交わしたりしてきた。
楽しかった…。しかし、疲れた。慣れつけないことをすると揺り戻しがくるもので、最後の2日は練馬の吾が庵に戻り、ひたすら体調を整えた(どちらかというと籠もり系だし)。
ところで、休みの2日目に大阪の吹田市にある出身大学を訪ねてみた。卒業してから1度も訪ねていないから二十数年ぶりであった。とくに感慨は湧かなかったが、それは、ついでの訪問だったからで、本当の目的は近所の万博公園にある「太陽の塔」を見に行くことであった。
なぜ、太陽の塔かというと、今年になってから、やたら太陽の塔に関係するものに出会うことが多くて、そういえば、1970年万博の時(小学生だった)に見たなあ…なんて考えているうちに、またまた、太陽の塔がらみのモノに出会ったり、貸してもらった本が岡本太郎の著作だったりして、最後には夢にまで太陽の塔が出てくる始末。
そんなこともあって、これは太陽の塔がオレを呼んでいるゼ。ここはひとつ見に行ってやらなくては、と思い始めてしまったのである(ヒマ人の勝手な思い込み)。
しかし、当日、現地に行ってみると、なんと休園日。事前に調べておけばよいものを…。しょうがない外から眺めて帰るしかないやと思っていたら、IDカードを首からぶら下げた職員(なぜか外国人女性)がやってきて、職員用のゲートから入ろうとしていたので、駄目で元々と思いつつ声をかけてみた。案の定、答えは次の通り。
「アア ザンネンナガラ ワタシノ イチゾンデハ ムリデスネ ゴメンナサイ デス」
しかし、とても気の毒そうにしてくれたので、一押ししてみた。
「太陽の塔を見たいがため、はーるばる東京からやってきました。少し眺めてすぐに出ますから入れてもらうわけにはいきませんか」
すると、彼女は困惑しつつも。
「サキホドモ モウシアゲマシタ トオリ ワタシニ ソノ ケンゲンハ アリマセン。デモ、ゲンジツテキニハ イマ アイチャッテ マスネ…」
と、お茶目な表情をしてくれたのであった。ラッキー! おかげで万博公園を友人と2人占めできたのでありました。大阪の土地柄か、けっこうおおらかだなあ…と思うことしきり。やはり太陽の塔はオレを呼んでいたのか、とずいぶん得をした気分になったのでありました。しかし、祭りのあとは寂しい…。
(大)